多くの人が一度は経験するといわれる腰痛。

厚生労働省の2022年国民生活基礎調査では、自覚している体の不調として男女そろって第1位という結果が出ています。

デスクワークや立ち仕事、育児や介護、あるいは日常の何気ない動作で、つらさを感じている方は多いのではないでしょうか?

痛みを少しでも和らげたいと思っても、「何から始めればよいか分からない」「自己流のケアでかえって悪化させてしまわないか不安」と感じることもあるでしょう。

そこでこの記事では、腰痛を軽減するために、自宅でできるセルフケアの方法を解説します。

自身でできるストレッチや筋力トレーニング、さらには腰痛を悪化させないための日常生活での注意点などもご紹介します。

無理のない範囲で、生活に取り入れられるセルフケアを見つけてみてください。

腰痛とは

腰が痛み、腰に手を当てている人

そもそも、なぜ多くの人が腰痛に悩まされるのでしょうか。

ここでは、腰痛の原因や受診すべき症状について紹介します。

腰痛と筋肉の衰え・こわばりとの関係について

腰痛の原因はさまざまですが、一つの要因として腰を支える筋肉の状態と関係しているケースが考えられます。

私たちの背骨は、椎骨という骨が積み重なってできており、その周りを背筋や腹筋といった筋肉が取り囲んで支えています。

しかし、現代の生活では、筋肉が本来の役割を果たしにくくなる要因が多いのです。

例えば、以下のような習慣に心当たりはないでしょうか。

  • 長時間のデスクワークで座りっぱなしになっている
  • スマートフォンを見る際に、つい猫背になってしまう
  • 日常的に運動する習慣がほとんどない
  • 立ち仕事で、常に同じ場所に立ち続けている

こうした生活習慣は、腰周りの筋肉を衰えさせたり、硬くこわばらせたりする原因となります。

筋肉の支えが弱くなると、背骨や椎間板(骨と骨の間にあるクッション)に負担が集中してしまいます。

その結果、痛みとしてサインが現れるのです。

さらに、筋肉が硬くこわばると、その部分の血流が悪くなります。

血流が悪くなると、筋肉内に痛みを引き起こす物質がたまりやすくなり、さらに痛みを強く感じさせるという悪循環に陥ることもあります。

腰周りの筋肉を柔軟に保ち、体を支える力を適度に維持することが、腰への負担を減らし、痛みを軽減するための重要な要素の一つとなるでしょう。

病院へ行くべき腰痛の特徴

自宅でのセルフケアを始める前に、まずは病院へ行くべき腰痛を知っておく必要があります。

すべての腰痛がセルフケアで対応できるわけではなく、なかには専門的な診断や治療が必要なケースもあります。

自身の体を守るためにも、セルフケアが適しているかどうかを見極めることが大切です。

もし、以下のような症状がある場合は、自己判断でケアを行うのではなく、まずは整形外科などの医療機関を受診しましょう。

  • じっとしていても痛みが変わらない、あるいは夜間に痛みが強くなる
  • 足に麻痺やしびれがあり、力が入らない、感覚が鈍い
  • 転んだり、どこかにぶつけたりした後に急に痛み出した
  • 発熱や体重の減少を伴う腰の痛みがある

これらのサインは、単なる筋肉の疲れやこわばりだけでなく、背骨の骨折や神経の圧迫、内臓の病気などが隠れている可能性があります。

とくに、足のしびれが徐々に広がったり、排尿・排便に影響が出たりするような場合は、早めの受診が必要です。

腰痛を軽減するための自宅でできるセルフケア

腰痛を軽減するための自宅でできるセルフケアとして筋力トレーニングをしている人

ここでは、自宅で手軽に始められる腰痛軽減のためのセルフケアをご紹介しますが、痛みがあるときには無理をしないようにしましょう。

気持ちが良いと感じる範囲で、リラックスしながら自分のペースで試してみてください。

とくに、筋肉が温まっているお風呂上がりなどに行うと、筋肉が伸びやすくなるでしょう。

腰痛軽減セルフケア1:ストレッチ

ストレッチは、硬くなった筋肉をゆっくりと伸ばし、緊張を和らげることを目的とします。

血流改善の助けにもなるでしょう。

一つの動作に20秒から30秒ほど時間をかけ、呼吸を止めずにリラックスして行うのがポイントです。

では、それぞれのストレッチ方法を見ていきましょう。

背中と腰を丸めて伸ばすストレッチ

デスクワークなどで固まりがちな背中や腰を、ゆっくりと動かしてほぐすストレッチです。

  1. 床に四つん這いになる
  2. 息をゆっくり吐きながら、おへそを覗き込むように背中と腰を丸める
  3. 息を吸いながらゆっくり元の姿勢に戻り、少し背中を反らせる
  4. 5回から10回ほど、呼吸に合わせて繰り返す

背中を丸める際は、猫が威嚇するように背骨を天井に引き上げるイメージをもつと、背中や腰が気持ちよく伸びるのを感じやすくなります。

腰を反らしすぎると負担になることがあるため注意しましょう。

寝ながらできる膝抱え込みストレッチ

朝起きたときや夜寝る前に、ベッドの上でも手軽にできるストレッチです。

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てる
  2. 両手で両膝、もしくは太ももの裏あたりを抱える
  3. 息を吐きながら、ゆっくりと胸の方へ引き寄せる
  4. 心地よく伸びる位置で、20秒から30秒ほど維持する
  5. ゆっくりと元の姿勢に戻す
  6. この動作を2~3回繰り返す

無理に強く膝を引き寄せる必要はありません。

足の付け根を伸ばすストレッチ

長時間座っていることが多い方は、足の付け根の筋肉が硬くなりやすいためしっかり伸ばしましょう。

  1. 右膝を床につき、左膝を90度に曲げて前方に立てる
  2. 両手は左膝の上に軽く置き、背筋を伸ばす
  3. ゆっくりと体重を前にかけ、右足の付け根から太ももの前にかけて伸ばす
  4. 気持ちよく伸びるところで20秒から30秒維持する
  5. ゆっくり元に戻り、反対側も同様に行う

足の付け根の筋肉が硬くなると、骨盤の動きが悪くなり、腰に負担がかかりやすくなります。

ストレッチ中は体が前に倒れたり、腰が反ったりしないように注意しましょう。

膝が痛む場合は、床にタオルなどを敷いてください。

腰痛軽減セルフケア2:筋力トレーニング

ストレッチで筋肉をほぐした後は、腰を安定させるための筋力トレーニングを取り入れてみましょう。

お腹の深層部を鍛えるドローイン

体を支えるインナーマッスルを鍛えることで、腰痛の予防にもつながります。

  1. 仰向けに寝て、軽く膝を立てる
  2. 鼻からゆっくりと息を吸い、お腹を自然に膨らませる
  3. 口からゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませていく
  4. 息を吐ききった状態で、浅い呼吸を続けながら10秒から30秒ほど維持する
  5. 5回ほど繰り返す

このトレーニングは、お腹の深い部分にある腹横筋という、天然のコルセットのような役割をもつ筋肉を鍛えます。

おへそを背骨に引き寄せていくイメージで行い、腰が床から浮かないように注意することがポイントです。

体幹を支える背中のトレーニング

背中側の筋肉を鍛え、体のバランスを整えるトレーニングです。

  1. うつ伏せになり、両手は体の横に置く
  2. 息を吐きながら、胸を少しだけ床から持ち上げるように上体をゆっくりと起こす
  3. その状態で5秒ほど維持し、息を吸いながらゆっくりと元に戻る
  4. 5回から10回ほど繰り返す

高く上げることよりも、正しいフォームで背中の筋肉を意識することを優先してください。

あごを引いて、視線は斜め前の床に向けることで、首や腰を反らしすぎるのを防げます。

おでこの下にタオルなどを敷くと楽に行えます。

腰痛軽減セルフケア3:メンタルケア

痛みが長く続くと、気分が落ち込んだり、「またあの痛みが来るのでは」と不安になったりすることがあります。

実は、こうした精神的なストレスは、体を無意識に緊張させ、筋肉を硬くしてしまいます。

また、脳が痛みに対して過敏になり、通常よりも強く痛みを感じさせてしまう一因にもなるのです。

心をリラックスさせる時間を作ることも、腰痛と上手に付き合うための大切なセルフケアといえます。

難しく考える必要はありません。

例えば、以下のような簡単な方法から試してみてください。

  • 深呼吸をする:心身をリラックスさせ、痛みへの意識を和らげる
  • ぬるめのお湯に浸かる:血行を促進し、筋肉の緊張をほぐす
  • 好きなことをする時間を作る:気分転換を図り、ストレスの軽減を目指す

どんな方法でリラックスできるかは人それぞれです。

ご自身に合った方法を見つけてみてください。

腰痛を悪化させないために日常生活で避けるべきNG行為

腰を曲げて床のものを持ち上げている男性

セルフケアとあわせて、普段の生活で無意識に腰に負担をかける行為を見直すことも重要です。

良いケアをしても、負担をかける習慣を続けていては、なかなか改善につながりません。

同じ姿勢をとり続ける

デスクワークで長時間座りっぱなし、あるいは立ち仕事でずっと同じ場所にいるなど、同じ姿勢を続けることは腰の筋肉を常に緊張させ、血流を滞らせる大きな原因となります。

筋肉が疲労し、硬くなってしまうのです。

できれば30分に一度は立ち上がって軽く歩いたり、少し背伸びをしたりして、意識的に姿勢を変えることを心がけましょう。

椅子に座る際は、深く腰かけて背もたれを使い、足の裏がしっかりと床につくように高さを調整することも大切です。

腰を曲げて床のものを持ち上げる

床にある重い物を持ち上げる際、膝を伸ばしたまま前かがみになり、腰の力だけで持ち上げるのは危険です。

腰椎や椎間板に急激で大きな圧力がかかり、いわゆる『ぎっくり腰』を引き起こす代表的な動作です。

物を持ち上げる際の正しい手順は以下のとおりです。

  1. 荷物のそばに近づく
  2. 片膝をつくか、両膝をしっかりと曲げてスクワットのように腰を落とす
  3. 荷物を体に引き寄せる
  4. 背筋をなるべく伸ばしたまま、足の力を使って立ち上がるようにする

癖のある方は、上記を意識するようにしてみてください。

腰を急にひねる、または過度に反らせる

準備運動なしに、不意に体を急にひねったり、無理に背中を大きく反らしたりする動きは、腰の筋肉や関節、靭帯を痛める可能性があります。

例えば、後ろの物を取ろうと急に振り返る動作や、くしゃみをする際に無防備な姿勢でいることも、腰に負担をかけます。

くしゃみが出そうなときは、壁や机に手をついて体を支えるなど、少しの工夫で腰への衝撃を和らげることができます。

痛みを我慢して前屈ストレッチをする

腰が痛いときに、「硬いから伸ばせば良くなるはず」と、痛みを我慢して無理やり前屈ストレッチをするのは避けましょう。

とくに、椎間板に負担がかかっているタイプの腰痛の場合、前屈することで症状を悪化させてしまう可能性があります。

ストレッチは、あくまで気持ちが良いと感じる範囲で行うのが基本です。

少しでも強い痛みや、しびれが出るような感覚がある場合はすぐに止めてください。

まとめ

腰痛を軽減するためには、ストレッチで筋肉の緊張を和らげ、筋力トレーニングで腰を支える力を鍛えるといったセルフケアが役立ちます。

また、日常生活の中で無意識に行っている、腰に負担をかける動作や習慣を見直すことも、同じくらい大切です。

焦らずにできることから少しずつでも継続しましょう。

ただし、セルフケアは治療ではなく、あくまで痛みを少しでも和らげ、良い状態を維持するための手段です。

セルフケアを続けても痛みが改善しない場合は、整形外科や当院に相談するのも一つの方法です。

当院のひかる接骨院では、筋膜リリースやキネシオテーピング療法など、体の状態に合わせた施術を行います。

さらに、再発を防ぐための運動指導や生活指導にも力を入れています。

腰痛のない生活を取り戻したいと考えている方は、ぜひ一度ひかる接骨院にご相談ください。