ぎっくり腰とはどういう状態?痛みに関わる部位やメカニズム・期間別の症状の変化を紹介
前触れなく、突然腰に激痛が走る「ぎっくり腰(急性腰痛症)」。
実際にぎっくり腰を発症し「腰で何が起きているのか」「ぎっくり腰とはどういう状態?」と、疑問に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ぎっくり腰とはどのような状態か、慢性腰痛・椎間板ヘルニアとの違い、発症期間別の状態や痛みの変化などについて詳しく解説します。
症状チェックリストも紹介しますので、ぎっくり腰になって不安な方、繰り返すぎっくり腰にお困りの方は、ぜひ記事を最後までチェックしてみてください。
ぎっくり腰とは

ぎっくり腰は通称で、医学的には「急性腰痛症」と呼ばれる状態です。
突然腰に激痛が走って動けなくなるのが主な症状で、重いものを持ち上げたときや、前屈みになったとき、あるいは咳やくしゃみといった些細な動作がきっかけで起こることもあります。
「腰が抜けそうな感覚がある」「安静にしていてもズキズキ痛む」「電撃が走るように痛む」など、ぎっくり腰の痛みの感じ方は人それぞれです。
実は、ぎっくり腰のはっきりした原因は判明していません。そもそも、腰痛の約85%は「非特異的腰痛」と言って、原因の特定が難しいケースです。
筋力や柔軟性の低下、腰に負担がかかりやすい生活習慣や職業、日常的な悪い姿勢、ストレスなどの心理的要因などが重なると、筋肉の緊張が強くなります。
このような状態で、「重い物を持つ」「くしゃみをする」など急激な動作がきっかけとなって引き起こされると考えられています。
慢性腰痛・椎間板ヘルニアとの違い
腰痛は、日本人の約8割は生涯に一度は経験するともいわれ、とても身近な病気です。
腰痛にはさまざまな種類がありますが、ぎっくり腰の他にもよく耳にする「慢性腰痛」や「椎間板ヘルニア」とはどのような違いがあるのでしょうか?
| ぎっくり腰(急性腰痛) | 慢性腰痛 | 椎間板ヘルニア | |
|---|---|---|---|
| 発症 | 突然、動作をきっかけに発症 | 徐々に進行し慢性化 | 加齢や椎間板への過度な負担、喫煙、遺伝 |
| 期間目安 | 4週間未満 | 3ヶ月以上持続 | 約3ヶ月〜1年 |
| 主な症状 | 激しい腰痛、動けなくなる | 鈍痛・重だるさ・繰り返す腰痛 | 腰痛、下肢のしびれ、坐骨神経痛 |
ぎっくり腰は、重症度にもよりますが1週間〜数週間ほどで自然に回復することが一般的です。
一方、慢性腰痛は症状が長期間にわたって続く状態です。発症からの期間が3ヶ月以上経過すると、慢性腰痛と呼ばれます。
慢性腰痛の場合、強烈な痛みというよりも「鈍い痛み」や「重だるさ」が続くケースが多いです。
椎間板ヘルニアは、椎間板の髄核が外に飛び出し神経を圧迫することで起こります。
椎間板ヘルニアの場合、腰痛だけでなくお尻や足にかけてのしびれや坐骨神経痛を伴うのが大きな特徴です。
ぎっくり腰はどういう状態?痛みに関わる部位

ぎっくり腰の痛みは、腰の複数の部位に起因する可能性があります。以下では主な3つの部位と、その他の原因について解説します。
椎間板
椎間板は、背骨(脊柱)を構成する椎骨と椎骨の間にある「クッション」のような組織です。
バームクーヘンのような構造で、外側は繊維輪という硬い線維性の組織でできており、内側には髄核というゼリー状の柔らかい物質が入っています。
この椎間板に亀裂が入ったり、中の髄核が外に飛び出すと炎症が生じ、強い腰痛を引き起こすことがあります。
椎間板ヘルニアでも、最初はぎっくり腰のような激しい痛みが起こることがあり、「ぎっくり腰だと思ったら椎間板ヘルニアだった」というケースもあります。
椎間板に負担をかける原因としては、長時間の前かがみ、中腰での重い物の持ち上げ、激しいスポーツなどです。加齢によって椎間板に徐々に亀裂が広がるケースもあります。
椎間関節
椎間関節とは、背骨を構成する椎骨と椎骨が重なった部分の背中側にある左右一対の関節のことです。
椎間関節には身体を前かがみにする、後ろに反らす、ひねるなど背骨のスムーズな動きをサポートする役割があり、あまり聞き慣れないかもしれませんが、椎間板と並んで腰痛に深く関わっている部位です。
この椎間関節に炎症が起きたり、加齢などに変形が起こると、痛みを生じます。
筋肉・筋膜・靭帯
腰の周りには、背骨を支え安定させる働きをするさまざまな筋肉があります。
例えば、脊柱起立筋は上半身を支えて姿勢を維持する役割があり、多裂筋は腰を反ったり、捻ったりする際に働きます。
筋膜は筋肉や内臓といった組織の表面を包んで支える組織のことです。靭帯は背骨と背骨をつなぎ合わせ、脊椎の動きをコントロールすることで関節を守っています。
ぎっくり腰では、重い荷物を持ち上げたときや急な動作が引き金になり、これらの組織に損傷が起こることで、急激な痛みが起こることがあります。
その他
まれに、内臓疾患(腎臓や大動脈など)による痛みが「ぎっくり腰」と誤解されることがあります。
強いしびれや発熱、尿の異常を伴う場合は、ぎっくり腰ではない別の病気が隠れている可能性があります。
思い当たる動作もないのに急に腰痛が起こった場合や、腰の痛みが長引く、通常のぎっくり腰と異なる症状を伴う場合は、早めに医療機関を受診する必要があります。
期間別!ぎっくり腰の状態・痛みの変化&対処法

ぎっくり腰の状態や痛みは、時間の経過とともに変化します。
ここでは、発症直後から1週間までの経過を紹介します。症状には個人差があるため、あくまで目安となりますが、参考にしてみてください。
発症直後
ぎっくり腰の発症直後は痛みが非常に強く、動きが極端に制限されることが一般的です。
特に起き上がる、前かがみ、腰をひねるなどの動作で激痛が走り、安静にしていてもズキズキ激しく痛むこともあります。
痛みだけでなく腫れ・熱感が出ることもあり、炎症によって周囲の組織が過敏になっていることも痛みを増幅させます。
突然ぎっくり腰になってしまったときの応急処置としては、無理に動かそうとせず、自分が楽な体勢になってゆっくり深呼吸をして痛みを落ち着けます。
発症直後は炎症によって患部が熱を持つため、氷や冷却パックなどで冷やすことで痛みが和らぐことがありますが、冷却しすぎは逆効果になるため注意しましょう。
痛みが強い時は、市販の湿布薬や鎮痛剤を使って痛みを軽減するのも選択肢です。
発症から2〜3日
ぎっくり腰の発症から2〜3日は炎症が強く、人によっては初日よりも2〜3日後が痛みのピークになると言われています。
ピークを迎えてからは痛みはやや落ち着き始めますが、無理をすると痛みが再発する可能性があります。
回復の速さや痛みの感じ方には個人差があり、「少し動くのでさえ苦痛」という人もいれば、「痛いけど動ける」という人もいます。
このくらいの時期で、炎症が落ち着いてきたら、冷却療法から温熱療法に切り替えることが一般的です。温めることで血流を促し、組織の修復を助けます。
湯船に浸かったり、カイロを使うなどして患部を温めましょう。ただし、人によっては温めると痛みが強くなることもあるため、その場合は無理に温めない方がいいでしょう。
マッサージやストレッチが可能であれば、無理のない範囲で行うと、血行を促す効果が期待できます。
発症から1週間後
この頃になると、多くのケースで痛みは徐々に軽くなってきます。発症直後と比べて可動域も広がり、動作が少しずつ可能になるでしょう。
これまでは「ぎっくり腰は安静第一」と言われていましたが、近年では安静が必ずしも有効ではないと考えられています。
痛みが強いためつい横になってしまいがちですが、むしろ無理のない程度で日常生活を過ごすように心がけた方が回復が早まるとされており、痛みが落ち着いてきたら少しずつ身体を動かしていくといいでしょう。
ただし、この頃も腰の違和感や不安感は残ることがあり、専門家に相談しつつ、軽いストレッチや運動を取り入れるのがおすすめです。
ぎっくり腰の重症度

単にぎっくり腰といっても、損傷の程度の違いや痛みの感じ方は人によって異なります。
ここでは、ぎっくり腰の重症度を「軽度・中等度・重度」の3つに分けて紹介します。
軽度
軽度のぎっくり腰は、前かがみになったときや腰を後ろに反らしたときなど、動作時に痛みや少しの制限はあるものの、慎重に動けば日常生活に大きな支障はない状態です。
このレベルであれば、無理をせずに過ごせば1週間〜2週間で自然によくなることも多いとされています。
痛みが強くなければ安静にし続ける必要はなく、普段通りに過ごした方が回復につながるでしょう。
ただし、重い物を持ったり、長時間同じ姿勢を取ったりすることは腰に負担をかけるため、避けてください。
また、軽度でも痛みが続く場合、自己判断で放置すると重度に悪化してしまう可能性があるため、少しでも痛む場合は一度専門家に相談することをおすすめします。
中等度
中等度のぎっくり腰では、じっとしているときも痛みがあり、動作で痛みが悪化する傾向にあります。
なんとか歩く、動くといった動作はできるものの、動きがゆっくりになり、日常生活を送るのに大変さを感じるでしょう。
悪化しないよう、無理に動くことは避けましょう。
整形外科や接骨院に足を運べるようであれば、テーピングや運動指導・生活指導など適切な処置を受けた方が、早期回復につながる可能性があります。
重度
重度のぎっくり腰の場合は痛みが強く、立ち上がる、歩くといった基本的な動作が難しくなります。
仕事や家事などが難しくなり、日常生活にも大きな支障が生じます。
激しい痛みが続く、症状が悪化するといった場合や、しびれや発熱などの痛み以外の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
ぎっくり腰の検査方法

強い痛みが長引く場合や、強いしびれがある場合、ぎっくり腰を繰り返す場合は、整形外科など病院で詳しい検査を行った方がいいケースもあります。
病院では、問診や触診の他、必要に応じてレントゲン、MRIやCTを行って痛みの範囲や原因を確認し、腰痛の原因がぎっくり腰なのか、それ以外の病気が隠れているのかを診断します。
一方、接骨院では腰はもちろん、股関節や骨盤の動き、上半身や下半身の筋肉の状態など、全体をしっかりチェックして腰痛の状態や原因の評価を行います。
もしかしてぎっくり腰?症状チェックリスト

以下は、ぎっくり腰で見られる症状やリスク要因のチェックリストです。当てはまる項目があるか、チェックしてみてください。
| 症状のチェックリスト | ・腰に突然、ビリッと電流が走るような鋭い痛みを感じた ・くしゃみや咳をすると腰に痛みが走る ・物を持ち上げた際に腰を痛めた ・前かがみになると腰が痛む ・腰の痛みが長引いてなかなか治まらない ・姿勢や体勢を変えると痛みが悪化したり軽くなったりする ・同じ姿勢を続けるのがつらい ・腰の痛みで動けなくなることがある ・腰の痛みで歩行が困難になることがある ・過去にぎっくり腰を経験したことがある ・足や腰にしびれを感じる |
| リスク要因のチェックリスト | ・姿勢が悪い ・中腰になることが多い ・日常的に重い荷物を運ぶことが多い ・子どもをよく抱っこしている ・デスクワーク中心の生活をしている ・運動不足で体を動かす習慣が少ない ・生活リズムが不規則である ・精神的なストレスを抱えている |
該当する数が多いほど、ぎっくり腰である可能性が高いです。正しい処置をして早く治すためにも、なるべく早めに接骨院や整形外科で相談するのがおすすめです。
ぎっくり腰を放置すると慢性化につながる可能性も

独立行政法人労働者健康安全機構 中国労災病院 治療就労両立支援センターの『職場の腰痛対策 ―勤労者の慢性非特異的腰痛と対処行動についての実態調査―』によれば、勤労者の年間腰痛発生率は54.4%で、半数以上が腰痛を抱えているといいます。
その8割以上は、ぎっくり腰のように原因を特定できない非特異的腰痛です。そして、そのうち1/3が慢性化してしまっていることがわかっています。
ぎっくり腰は再発しやすく、発症をきっかけに慢性的な腰痛に悩まされている人は少なくありません。
しっかり治すためにも、腰の痛みにお悩みの場合は一度専門家による詳しい検査を受けるのがおすすめです。
ぎっくり腰についてのよくある質問

ここでは、ぎっくり腰についてのよくある質問を紹介します。
Q:歩けるけど痛いのはどんな状態?
ぎっくり腰でも、軽度〜中度であれば、「歩けるけど痛い」という状態になることがあります。
「歩けるからぎっくり腰ではない」「歩けるから大丈夫」といった自己判断は悪化につながることもあるため、腰に痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。
歩けなくなると接骨院や整形外科に足を運ぶことも難しくなってしまうため、歩けるうちに相談しておくのがおすすめです。
Q:ぎっくり腰の治療法・治し方は?
ぎっくり腰を改善するためのアプローチは、整形外科と接骨院では違いがあります。
| 整形外科 | ・湿布薬や内服薬の処方、神経ブロック注射、トリガーポイント注射など薬物療法がメイン・その他、コルセット着用、リハビリテーション(理学療法)なども行う |
| 接骨院(整骨院) | ・柔道整復師が直接体に触れながら、手技を中心にアプローチ。 ・症状に合わせてクライオセラピー&アイスマッサージ、筋膜リリース、キネシオテーピング療法、筋スラッキング療法、運動療法など |
まとめ
ぎっくり腰は非特異的腰痛の一種で、はっきりした原因はわかっていないものの、椎間板・椎間関節・筋肉など腰まわりの複数の構造が関与し、痛みが生じると考えられています。
強い痛みがあるときは安静にし、痛みが良くなってきたら少しずつ身体を動かしていくことが大切です。
ストレッチ・体幹強化・姿勢改善などを計画的に行うことが早期回復と再発予防につながります。
ぎっくり腰は自然に回復することもある一方で、再発しやすい点には注意が必要です。
ときわ台駅・上板橋駅から徒歩8分の『ひかる接骨院』では、一人ひとりの患者様の身体の状態をしっかりチェックし、ぎっくり腰の原因を探ったうえで適切なアプローチを行っています。
悪い姿勢や筋肉のアンバランス、良くない身体の使い方など、ぎっくり腰を招く要因を取り除くことで、回復をサポートします。
「ぎっくり腰かもしれない」「腰痛がなかなか治らない」など、お悩みの方はぜひ一度お気軽にご相談ください。